皆さん、最近本を読んでいますか?
私は学生時代、東野圭吾さんの新作を読んだり、湊かなえさんのイヤミス(読んだ後に嫌な気分になるミステリー)にゾクゾクしたりと割と本を読んでいた方だと思います。
でも、社会人になって仕事に追われるうちに、いつの間にか本を手に取る時間も心の余裕もなくなっちゃって…。気づけば、最後に読んだ本が思い出せないくらい、読書から遠ざかっていました。
そんな私が、最近また本を読み始めたんです。
きっかけは、不妊治療との両立のために働き方をパートタイムに変えたこと。少しだけ時間に余裕ができて、「何か新しい趣味を始めたいな」と思ったんですよね。
治療中は、どうしても気持ちが不安定になったり、先の見えない不安に押しつぶされそうになったりしませんか? 私も同じで、SNSを見ては他人を羨んだり、「なんで自分だけ…」ってネガティブ思考の沼にハマりがちで…。
だから、今の私に必要なのは、心をかき乱されるものじゃなくて、そっと隣に座ってくれるような、温かい物語。
そんなわけで、「今月から月2冊、本を読む!」と目標を立ててみました。早速図書館で借りてきた2冊をシェアさせてください。
\今月の1冊目/ どんな自分も責めなくていい。『夜空に浮かぶ欠けた月たち』
まずはこちら、窪美澄さんの『夜空に浮かぶ欠けた月たち』。
心療内科「椎木メンタルクリニック」とその近くの喫茶店を舞台に、心に傷や悩みを抱えた人々の再生とつながりを描いています。
様々な事情を抱えた人たちの心の機微を描くオムニバス形式の物語なんですが、この本に収録されている一編が、今の私に深く刺さりました。
それは、長年の不妊治療の末に高齢出産したものの、産後うつになり、我が子を可愛いと思えずに苦しむ女性のお話。
不妊治療をしていると、「出産」がゴールだと思いがちですが、その先にあるかもしれない、誰もが陥る可能性のある苦しみを描き出していました。
「こんなに望んだはずなのに、どうして」と自分を責める彼女の姿に、今の自分が重なりました。
治療がうまくいかないと、「私の性格が悪いからかな…」「もっとポジティブでいなきゃ」って、つい自分を責めてしまう。そんな心の動きが、痛いほどリアルに伝わってきたんです。
この本が教えてくれたのは、「人間は誰だって心に不調を抱える可能性があって、それはおかしなことじゃない」ということ。
そして、どんな状況であっても、「そう感じてしまう自分を、責めなくていいんだよ」と、優しく肯定してくれるような気がしました。
病院の長い待ち時間で読むのにもぴったりで、私は3時間くらいで読破。物語に没頭することで、少しだけ自分の悩みから距離を置くことができました。
\今月の2冊目/ ただ話を聞いてほしい、そんな夜に。『リカバリー・カバヒコ』
2冊目は、青山美智子さんの『リカバリー・カバヒコ』。
2024年本屋大賞にもノミネートされた話題作で、物語の舞台は、5階建ての新築分譲マンション「アドヴァンス・ヒル」と、その近くにある「日の出公園」。
この公園には、古くから設置されているカバのアニマルライド(遊具)があり、「自分の治したい部分と同じ部分を撫でると回復する」という都市伝説が住民の間で語られています。このカバは「リカバリー・カバヒコ」と呼ばれています。
それぞれの主人公が自分の治したい部分をカバヒコに撫でて願いを込めることで、直接的に問題が解決するわけではないものの、自分自身の内面と向き合い、少しずつ前向きな変化を遂げていくのが特徴です。
『夜空に浮かぶ欠けた月たち』が心にじっくり沁みる一冊だとしたら、こちらは「うんうん、わかるよ」って隣で話を聞いてもらっているような安心感を与えてくれる一冊です。
扱われている悩みも、日常の中のちょっとしたつまずき、という感じで(少し学生さん向けかもしれません)、深刻になりすぎずに読めるのがいいところ。
2時間もあればサクッと読めるので、疲れて帰ってきた日の夜に読むのにピッタリです。
治療中のだからこそ、「読書」で心を休ませよう
久しぶりに読書をしてみて思ったのは、「物語の世界に没頭する時間って、やっぱりいいな」ってこと。
不妊治療中は、良くも悪くも自分の体や心と向き合う時間が増えますよね。でも、四六時中向き合っていると、やっぱり疲れちゃう。
そんな時、本を開けば、ほんの数時間だけでも現実から離れて、別の誰かの人生を旅することができる。そして、物語の中から、今の自分に必要な言葉や、前を向くための小さなヒントをもらえることもある。
皆さんは、不妊治療中にどんな気分転換をしていますか?
もし、「この本、心が温まるよ!」っていうおすすめがあったら、ぜひコメントで教えてもらえると嬉しいです。
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